Charlie's　Bar

昔の昔、それはだいたい３０年以上前に銀座のとあるクラブで演奏をしていた時に銀座では有名なお客様がいました、その方はもう亡くなってしまいましたが伝説的な人でした、経済界の大物でもありました、それではどうして意志の疎通をとるのか？その方は店に来てから帰るまで一言も会話をしません、どうやって会話をするか？その方は笛を吹きながら手真似で会話をするのです、ホステスとも笛、ボーイさんとも笛、でもその方は聾唖でもありません、ちゃんと喋れます、しかし店では一言も喋りません、それは徹底してました、店の入口前からピー、ピー、と聞こえると店のママ達は急いで入口まで行き、お出迎えです、その方は店では５本の指に入る上客だから気の使い方は半端じゃありません、飲み物はカルピスのお湯割です、ボトルでキープ、そしてもう1本キープなんとルイ1３世(ブランデーの最高級品、当時1本２５万円也)それはお気に入りの女性か一緒に来た政治家や実業家達の為に！なにしろその方が見えるとピー、ピー、とうるさく、違う
お客様が良く怒らないと思い、その事をママに聞くと、小さい声で「違うお客様も皆さんその方をご存知で多かれ少なかれその方に関係してるのでね！」とママ、私はわかったようなわからないような複雑な気持ちでした、しかしある時に私が「慕情」を歌い出すと私をじっーと見つめています、その時だけ笛は吹かずにです、そして終わるなり、立って拍手しました、いままで私の歌など聴いてもいない風でしたが！そしたら周りのお客様も立って拍手です、まるでその方が応援団長で違うお客様は応援団員みたいにです。後でその方のお気に入りのホステスが私に「あの方はジェニファージョーンズの大ファンで慕情を何百回も見たそうですよ」と聞きました、そのホステスが私にその方からですとチッブを1万円くれました、いやいや参った、参ったです、そんな方でした！世の中広いなぁー！掛川せまいなぁー！